②実際に生活保護を受けた話、その一部始終【生活保護の申請】

これは私の知人が生活保護を受けたときの一部始終です。

詳細が分かるように若干のフィクションを加え、物語形式にしてみました。

今回は、生活保護申請窓口でのことです。意を決した飲野さんはさんざん迷った挙句、ようやく生活保護の申請をすることになりました。

こうなるとは思わない程困窮した

世の中には色んな坂がある。自分にとって「まさか」という坂が目の前に迫っていたとは全く気が付かなかった。

単身生活なので出費はそれほど多くはない。趣味と言えば、パチンコと競馬ぐらい。お酒は飲まないので酒代はかからない。

だから、今まで何とかなって来たが、今回は参った。3か月前に仕事を解雇されてから仕事が見つからないのだ。

自分では解雇と思っているが、会社から見たら勝手に辞めて行ったことになるので解雇手当のようなものは一切出ない。

失業保険もない。会社がかけていなかったことが後で分かった。貯金もこの3か月で使い果たした。本当に、ないないづくしだ。

自己破産をする前ならいくらかのキャッシングができたが、今やどこからもお金を借りることができない。

兄弟とも疎遠だし、お金を貸してくれる友達なんていやしない。

職安へ行き、何とか面接まで漕ぎつけても、その後がどうも上手く行かない。これだけ仕事が見つからないと、どうせまた断られるかと思うと職安に行く足も遠のくというものだ。

そうこうしているうちに本当に明日の米もなくなってしまった。

自分にとっての生活保護

生活保護というものがあるのは前から知っていた。母が良く「あの人は民生委員にかかっている」と言っていた。その言には、その人を蔑んでいることが良く分かった。

今から思うと、自分の家も生活保護以下の生活だったのに、意地で生活保護を受けないで、保護を受けている人を蔑視するというのはどういう神経だったのかと思う。

生活保護を受けていることを民生委員にかかっているとは良く言ったものだ。自分も民生委員と会って生活保護と民生委員との関係が良くわかった。

母の言葉で、生活保護は人様の税金で生活するダメな人たち、受けている人は皆怠け者で働かないから受けている、所謂人生の負け組と思っていた。

だから、生活保護は、自分には関係ないものと思っていたし、生活保護だけは受けたくないと思っていた。

客観的に見ると、自分は負け組であることに間違いはないが、そうした形で自分を見ることはできなかった。

この期に及んでは、自分は生活保護を受けなくてはならないのかと半ば諦めたが、それでもまだ受給する決心は付かなかった。

と言っても明日食う米もない。かくなる上は、背に腹は替えられない。

生活保護を受けるのではなくて、何かの貸付のようなものがあるのではないかと思い、兎も角、役所に行ってみようと思った。

生活保護の申請

翌日、市役所の門をくぐった。生活保護の部署がどこにあるか分からなかったが人に聞く気はしなかった。案内板を注意深く見て行くと「生活保護課」と書かれている。2階の南側だ。階段を上るとすぐにあった。

生活保護課の窓口には企業のように受付嬢(担当者)がいるわけではない。普通の事務室だ。戸籍を取る所のような窓口があるのかと思ったが、それもない。拍子抜けした。

皆忙しそうに仕事をしている。仕方ないので「すみません」と声をかけた。一番近くにいた女性が出てきたので、保護の相談をしたいと告げた。

「お待ちください」と言い、中の年配の男性に声をかけて、自分を別室に案内した。

別室と思ったが、入り口にカーテンがあるだけの仕切られたブースだ。しばらくするとその中年男性が入ってきた。

「こんにちは、相談担当の○○と言います。よろしくお願いします。」

物腰はやわらかい。

どうも役所というところは嫌なところだ。特にこのように自分が生活保護の相談に来るようになると尚更だ。

だから、こうして優しそうに言われると確かにホッとする。

「今日は、どういったご相談になりますか」

どういった相談も何もあったものではない。生活に困っているから来たのが当たり前ではないか。そんなことも分からんのかと言いたい気持ちを抑えて「生活が大変で」と絞り出すように言った。それ以外言いようがなかった。

「どのように大変なのですか」と更に聞いて来た。

3か月前から失業していること、失業手当等はなく、手持ち金、預金もないことなどを話した。

今迄の生活歴、身内からの援助の可否も聞いてきたので、高卒後の仕事のこと、援助不可であることを話した。

「何か、お金に換えることができるようなものはないか」と言うので、「テレビがある」と答えたが、テレビはお金に換えることができるようなものにはならないらしく、「例えば車のようなものや解約返戻金がある保険のようなもの」と言って来た。

もちろんないので「ない」と答えた。

兎も角、今日、食べる米もないことを伝えると、「生活保護の申請はされますか」と聞いてきた。

自分としては、貸付のようなものはないかと思っていたが、そのようなものはないとのこと。

それじゃ選択肢はただひとつ、「生活保護の申請」しかない。なので、「申請します」と言うと、用紙を渡された。保護申請書、資産申告書、収入申告書という書類だ。住所、名前等を書き提出した。

担当者は、「後日、民生委員とも面談してもらいますので民生委員に後で電話してください」と電話番号が書かれた用紙を手渡した。

ケースワーカーの調査が入るというので後日連絡を待つこととなり、この日はこれで終わった。

いや、終わっちゃ困る。今日食べるものがないのだ。「何とかして欲しい」と伝えると「つなぎ資金として5千円を貸与する。保護が決定したら返して欲しい。」という。これで助かった。

解説

生活保護は国民の権利です。決して惨めとか考える筋合いのものではありません。

この生活保護を受ける前には面接相談をすることになります。生活保護は他方他施策が優先になるので、相談者に財産、資産はないか、援助してくれる者はいないかなどが聞かれ、他の手段で生活ができるのなら、生活保護の申請とはなりません。

しかしながら、そうした相談の中で生活保護しか生活の手段がないと思われるなら生活保護の申請となります。

ここで重要なのは、あくまでも面接相談は相談であって、日本国民は生活保護の申請権を有していることから、申請権を侵害するような行為は行うことができないということです。

すなわち、担当者は生活保護の申請意志がある場合は申請を妨げるようなことを言ってはならないのです。

面接相談の結果、申請がなされた場合は、それからケースワーカーによる調査が行われます。


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