親族間の助け合いって生活保護では、そんなの関係ない?、扶養義務は絵に描いた餅か

生活保護画像

■生活保護の扶養義務はどうなっているか

生活保護の扶養義務は「生活保持義務」と「生活扶助義務」があって、これらについてはこちらで詳しく述べられています。本当にそのとおりです。
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20151023-OYTEW55270/

ちょこっと引用

「生活保持義務」は、夫婦間と、未成熟の子に対する親からの扶養が対象です。自分と同程度の水準の生活をできるようにする義務があるとされています。これは内容的に「強い義務」だと言えます。ただし、自分の健康で文化的な最低限度の生活に必要な費用(生活保護基準額)を削ってまで援助する必要はないという解釈が一般的です。

つまりは、いくら強い義務があったとしても、生活保護基準程度の生活しかしていなければ、援助する必要はないということですね。これは援助すると生活保護基準以下の生活となってしまいますので、理論上当たり前です。婚姻を繰り返し母子家庭製造夫であっても当人が生活保護基準以下の生活であれば責任は問われないということです。なんじゃこれ。

「生活扶助義務」の方は、成熟した子と親の関係、祖父母や孫との関係、そして兄弟姉妹の関係が対象です。自分が健康で文化的な最低限度の生活水準を超えて、しかも社会的地位にふさわしい生活を維持したうえで、なお経済的余力があるときに、援助する義務があるとされています。簡単に言うと、余裕があったら援助するべきという「弱い義務」です。

扶養義務自体が弱いうえ、「社会的地位にふさわしい生活を維持」の判断が難しく、余裕があっても、当の本人が余裕がないと言ってしまえば、現実的には援助しないことも可能となります。
生活保護で面倒を見てもらえるなら、行政に任すと考える人が殆んどでないでしょうか。
まとめると、扶養義務が生じるのは、夫婦間と、未成熟の子に対する親は、生活保護以上の収入がある場合、成熟した子と親、祖父母や孫、兄弟姉妹の場合は、社会的地位にふさわしい生活を維持する以上の収入がある場合です。

■扶養能力調査はどのように行われているか

扶養義務は生活保護に優先しますが、これはあくまでも扶養義務者に扶養能力があり、実際に扶養を履行する場合のみです。生活保護の要件ではありません。

扶養能力があるかどうかの調査は、実施要領上でも最近はトーンが下がって来ています。

すなわち、次第5では、「扶養義務は法律上の義務であるが、これを直ちに法律上の問題として取り扱うことは性質上なるべく避けることが望ましい」 とあくまでも当事者間で解決するように示唆するとともに、扶養能力の調査については、「その職業、収入等につき、要保護者その他により聴取する等の方法により、扶養の可能性を調査すること。」と一義的には要保護者の言い分で調査をすることになっています。

「重点的扶養義務者」という位置付も設けていて、これは生活保持義務関係と生活保持義務関係以外の親子関係で扶養の可能性が期待できる者としていますが、これらの者以外の兄弟や老親の子などについては扶養の可能性が期待できなければ重点的扶養義務者ではないという整理にしています。

扶養照会は、生活扶助義務であるならば、郵送で行い、その回答で援助ができないということであれば基本的にはそれで終わります。生活保持義務等の重点的扶養義務者であれば実地調査を行う取扱いになっていますが、その結果、収入が生活保護以下であればこれも扶養能力なしで終了します。

■扶養義務能力がある扶養義務者に対してはどのような扱いになるか

こうした調査により、収入があり、扶養義務があると認められた場合は、被保護者に対して、扶養を求めるように促します。当事者間で話し合い、それでも解決しない場合は法テラスで相談したり、家庭裁判所で相談するように求めます。

これが助言か指導かというと微妙な部分がありますが、例えば扶養義務者が援助すると言っているのに拒む場合などは補足性の原理にもとるので、指導し、なお、拒む場合は保護申請却下になる場合もありますので助言の範囲は超えると思います。

扶養義務者が十分な扶養能力があるのに扶養義務を履行しない場合には、法第77条により被保護者へ支弁した保護費を扶養義務者から徴収することができますが、これを実際に行った例は知る限りではありません。

母子家庭の世帯の母親がアパートの隣に住んでいて、日ごろから交流があっても一切援助しないケース。親兄弟が公務員であっても一切援助しないケースも論理上十分にありうることなのです。

■まとめ

民法では扶養義務を定めていますが、当事者間の微妙な問題なため実際にその履行を求めるのは大変難しい状況にあります。扶養義務の問題を公にしなくてはならないのが生活保護の現場ということになりますが、今見たとおり決して扶養義務の履行を促すことが機能しているとは言えません。

扶養義務履行とは、正直者がバカを見る制度ということを言ったケースワーカーもいます。扶養義務を履行している者など殆どいないなか、正直者だけが援助をしていることを揶揄したものです。

子の父が扶養義務を履行しているというのは見たことがありますが、兄弟が援助しているケースは個人的には記憶の限りでは、ありません。

機械的な対応ができないのは当然ですが、扶養義務については、現実的ではない取扱いに終始しているような気がしています。

そもそも、家制度がない現代において、兄弟にまで扶養義務を求めるのはどうなのでしょうか。
親族間の助け合いは生活保護では、殆ど機能しておらず、扶養義務は絵に描いた餅になっている中、例えば、「兄弟については扶養義務調査を行わない」などという取扱が可能なら今のケースワーカーの仕事の5%は少なくともなくなると思います。そちらの方がよっぽど経済的ではないでしょうか。


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