高齢者等の災害時要配慮者避難支援は災害時の地域の助け合い、その進め方

災害時避難画像

○災害時要配慮者避難支援の必要性

災害が発生したときはその程度にもよりますが、避難所が開設されます。避難を要する人達は避難するわけですが、誰しもがスムーズに避難できるというわけではありません。避難所がどこにあるか分からない高齢者、体が不自由で逃げ出せない人などなど、避難したくても自分達ではどうしようもない人達もいます。こうした人達の避難をどのように進めれば良いのでしょうか。警察や消防がすぐに動いて避難支援ができるのが一番良いのは間違いありませんが大規模災害となればそういうわけにも行きません。一刻を争う場合には、行政の支援が間に合わないことは過去の災害の教訓からも明らかです。

このため、自分で避難できないような人達の避難は、近くの人達の助け合いで行うことがどうしても必要になります。

災害が発生したときには自然発生的に助け合いが行われることも多くありますが、備えあれば憂いなしで災害に備えて前もってこうした助け合いを一定の団体が組織的にシミュレーションしておくことが重要で、これを「災害時要配慮者避難支援」と言います。

予め要配慮者と支援者を募り、誰が誰を支援するかを決めておくことが活動の中心となります。

○災害時要配慮者避難支援の進め方

こうした近所の人達での助け合いをどのように進めるかですが、先ずは、支援団体を決めなくてはなりません。 近くの人達の集まりということになりますので、町内会であったり、自主防災組織であったり、福祉推進委員会、などであったりします。新しく組織を立ち上げるよりも既存組織を活用する方が円滑に行く場合が多いとされています。

 

支援団体が決まると次に誰が誰を支援するのかを決めます。

支援する人の集め方の基本は二つあります。手上げ方式と相談・ノミネート方式です。手上げ方式は文字通り自分から支援することを申し出ることで、支援団体は例えば回覧板などで登録を呼びかけたりします。相談・ノミネート方式は知人や要配慮者の近所の人に個別にお願いをしたりすることです。

支援される人を決める方法の基本も二つです。手上げ方式と同意方式です。手上げ方式は支援者のときと同じですが、同意方式は「○○さんは支援を要するのではないか」などの情報があった場合に支援団体が直接本人に働きかけるという方法です。

○避難行動要支援者名簿について

支援される人を決める方法で新たに加わったのが「避難行動要支援者名簿の提供」を受けることです。

 

この名簿は、平成23年の東日本大震災において高齢者や障がい者の死亡率が高かったという教訓から、実効性がある避難支援が行われるように平成25年の災害対策基本法の改正で市町村に作成が義務付けられたものです。一定の範囲の要配慮者が掲載されています。

この名簿情報は災害が発生していないとき、発生するおそれがないとき(平時)には本人同意がなければ支援団体に提供することはできませんが、災害が発生したとき、発生するおそれがあるときには一定の条件のもとで名簿情報を同意を得ずに支援団体に提供することができます。

平時に支援団体から提供申請があった場合は、行政から要配慮者に対して「手上げをしませんか」という趣旨の文書を送り、情報提供に同意した人達の名簿だけを支援団体に提供します。

この名簿情報の提供を受けるには要件があります。先ずは、行政が定める提供を受けることができる団体であること(連合町内会、町内会、地区民児協など)で、次に、避難支援に取組んでいるか取組む予定がある団体であることです。

連合町内会の範囲の団体からの申請では全町内会の範囲で取組が行われなくてはならずハードルが高く、連合町内会単位の申請は少ないのが現状です。

要配慮者という言い方はあいまいです。誰が要配慮者となるかは広い意味では避難するのにハンディがある方全員です。外国人や子供、妊婦も対象になります。しかし、避難行動要支援者名簿掲載者とした場合は対象者は限定されます。行政の決め方ですが、「要介護認定を受けている方、身障1、2級所持者、療養手帳A所持者など」としているところが多いようです。

この情報は、災害対策基本法で既存情報の目的外使用が認められているため、電算システムから抽出するという自治体もあります。

誰を要配慮者として支援するかは支援団体が決めますが、名簿情報の提供を受けた場合はその方々は必ず対象としなくてはなりません。

○避難計画

こうして、要配慮者、支援者が決まれば、両者のマッチングを行い、面談を経て避難計画を策定します。避難計画は「避難所まで連れて行く」というのが基本ですが、要配慮者の必要に応じての支援になりますので、例えば、「避難情報を伝達する」といった計画もあり得ます。

発災時にはこの計画に基づき行動しますが、支援者も被災者となり結果的に支援ができなくなることもあります。このため避難計画は要配慮者1名に対して複数の支援者を設けるのが良いとされています。

災害時要配慮者避難支援により避難した方々を避難所でどう迎えるかについては、必要に応じて避難所内の福祉避難スペースに避難させたり(昨年研修を行った)福祉避難場所に移動させたりします。

○災害時要配慮者避難支援の課題

・支援団体の誤解がある
支援団体の中には「こんなことまで行政にやらされるのか」と考えているところもあるようですが、この取組は行政からのお願いの次元であり、取組を強制するものではありません。名簿提供は「取り組める」という団体からの申込みで初めて提供するものです。

・取組においてメンテナンスの言及がない
災害時要配慮者避難支援に関しては「マッチングが取れた」「避難計画を策定した」ということで一旦は終了します。こうした瞬間は支援者はとても高い意識にありますのでいつ災害が来ても対応ができると思いますが、時間が経つとどうでしょうか。もしかすると支援者が要配慮者となっているかも知れませんし、そもそも、そうした支援者であることを忘れているかも知れません。大切なのはこうした関係をメンテナンスする機能や確認手段などを取組の中に包含させておかなくてはならないのではないかと思います。

・縦割りの取組になっている
取組のメンテナンス手法としては地域の見守り活動の一環とするのが良いと考えるのですが、避難行動要支援者名簿の活用は申請団体しかできず、申請団体以外の地域の見守り団体が利用することはできません。

・同意率が低い
名簿情報提供に関する本人同意の割合(同意率)は地域にもよりますが、4割程度で残り6割の人は同意しないという実態があります。障がいを持つ方はどうしても障がいを知られたくないと考えているようで本来、こうした支援を必要としていると思われる人であっても同意していない可能性があります。

・要配慮者に誤解がある
名簿情報に基づく要配慮避難支援はあくまでも地域活動なのですが、行政からの同意書送付なので、行政が具体的な支援をすると勘違いする人が結構いる状況にあります。

・業務量増加
名簿情報提供に関する事務は平成27年から始まったものですが、結構な業務量であるにも拘わらず、職員の人的配慮はなく、その結果、取組にバラつきが生じている状況にあります。

災害から身を守るためにはどうすれば良いか、災害は忘れた頃にやってくる

2018.07.23

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